鳥栖なども震度6強 「地盤軟弱、影響大きい」 対策急務に
=2008/04/12付 西日本新聞朝刊=
政府の地震調査研究推進本部は11日、警固断層(福岡市‐福岡県筑紫野市)の活動で予想されるマグニチュード(M)7.2程度の地震が発生した場合、福岡市周辺だけでなく、30キロ前後離れた同県久留米市や佐賀県鳥栖市など筑後川中流域でも震度6強以上の揺れが起こり得るとの予測をまとめた。
警固断層に関しては震源から離れるほど揺れは弱まるとされてきた従来の想定が当てはまらないことを示しており、福岡都市圏以外の地域でも新たな防災対策が求められそうだ。
警固断層は、福岡市東区志賀島南方の博多湾から同市中央・南区、春日、大野城、太宰府各市を経て筑紫野市に至る総延長27キロの活断層。
推進本部は、2005年3月に起きた福岡沖地震(M7.0)の観測データなどを基に地下構造モデルを作成。断層面が最初に壊れる地点として、博多湾内▽福岡市▽大野城市付近▽筑紫野市付近‐の4カ所を想定し、それぞれで揺れを詳細にシミュレーションした。
その結果、どの場合も警固断層沿いで震度6強以上、周辺で震度6弱となる一方、内陸部の震度は最初の断層破壊地点によって異なると分析。博多湾、福岡市で破壊が始まった場合は、内陸部側に強い揺れが向かい、警固断層の延長線上にあるうきは市や久留米市、小郡市、鳥栖市など筑紫平野北東部で震度6強となる可能性を指摘した。
大野城、筑紫野付近で破壊が始まった場合は博多湾側に揺れが向かい、内陸側の揺れは比較的抑制されるが、それでも久留米市から柳川市、佐賀市にかけた筑後川下流域の広範囲で震度5以上と予測されている。
推進本部は「筑紫・佐賀平野は地盤が軟弱で、警固断層から離れていても影響は大きい」と説明。福岡沖地震の際も、断層に近い福岡市や福岡県前原市のほかに、佐賀県みやき町で最高の震度6弱を観測している。
推進本部の下部組織にあたる地震調査委員会は昨年、警固断層の今後30年以内の活動確率を最大で6%と評価。国内主要活断層102の中でも発生確率が最上レベルのグループに分類している。
■地元自治体冷静 耐震化促す声も
11日公表の震度予測で、筑後川中流域の自治体は震度6強以上の地震の可能性が指摘された。自治体の多くは「想定内」と比較的冷静に受け止めるとともに、防災対策の拡充を課題に挙げた。
「警固断層の活動が、うちの市にこれほどの揺れを誘発するとは想定外だ」。福岡県うきは市の防災担当者は戸惑いを口にした。従来の想定は震度5程度だったが、今回の発表では震度6強以上の危険性もある。市は公共施設の耐震診断を始めているものの、対策は道半ばの状態。「地元に別の活断層があることは市民も認識しているが、警固断層へも住民の啓発を進めていきたい」
福岡県久留米市、小郡市、佐賀県鳥栖市は、震度6強以上の大地震も想定した防災計画などを既に策定している。ただ、防災担当者たちは「どんな緊急事態が起きるか想像できない」(小郡市)と、絶対的な対応の難しさを指摘した。
福岡管区気象台の細野耕司地震情報官は「家具の転倒防止など身近な防災対策を行ってほしい」と助言。九州大地震火山観測研究センター(長崎県島原市)の清水洋所長は「避難場所となる公共施設が震度6強以上の地域に含まれる場合は、優先的に耐震化を進めたほうがいい」と指摘した。
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